アリストのブログ_意味がある文章

生活の中で考えたこと、本の話等。INTJ。I am my choices.

今読んでも面白い伊勢物語_ビギナーズクラシックを読む

最近歴史ブーム・古典ブームが再燃したため、伊勢物語を読みました。今の人が読んで面白いと思う個所など書こうと思います。

伊勢物語平安時代に成立したとされる歌物語。和歌を中心にした物語です。

 

四段

月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身一つはもとの身にして

昨年は会えていた女が姿を隠し会えなくなってしまった男が読んだ和歌です。会えなくなってしまったことで、春や月の美しさも去年と違ってしまったという歌で、現代人としても理解できる歌になっています。背景としては、当時の貴族は娘を天皇家に嫁入りさせることで政治権力を得ようとしていたため、貴族の娘は守られることが多かったという背景があります。

 

九一段

をしめども春のかぎりの今日の日の夕暮れにさへなりにけるかな

月日が過ぎることを嘆く年老いた男が読んだ歌。春も終わってしまうし、さらに日も暮れようとしているということで、人生も終わりに向かっていく様子を歌っている和歌。現代のネットでも、「夏は80回しか来ない」等、季節の巡りに時間の有限性を関連させたような表現はよく見かけますが、1000年以上前の作品と現代の感覚で共通する部分も多くある点が興味深く読めました。

 

そのほか

当時のルールでは、夫が家を出て3年間消息不明の場合は妻が再婚できるという決まりがあったらしいです。伊勢物語の世界では、女性が別の男性に向かったり、尼になる等、ある程度主体性を持って生きている様子が伺えます。

 

角川ソフィア文庫のビギナーズ・クラシックスシリーズは日本の古典が訳文や注釈込みで読めて、初心者も気軽に古典が楽しめるのでオススメです。

 

古い文章を読むと、今と違っていたら今と違う世界が知られて面白いですし、今と同じなら長い年月を隔てていても同じということが面白いので、どう転んでも好奇心を刺激してくれる場合が多いですね。

伊勢物語は地名の記載も多いので、読むことで各地を旅行する際の楽しみも増えます。

 

坂口由美子編 角川ソフィア文庫『ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 伊勢物語

https://onl.tw/vXVZaDW

 

■書いた人:Aristo 

Spoonという音声配信アプリで配信したり、アーカイブを残しています。

https://www.spooncast.net/jp/profile/314699533/board/dj?t=all

https://twitter.com/aristocalm